矯正治療の種類
子供の矯正治療への考え方
子供の矯正治療といっても治療法や方針には多くの選択肢があり歯科医師ごとに考え方が異なるため、歯科医院によって治療法や方針が違います。当院の小児矯正治療は年長さん、小学校1~2年生からはじめる「早期矯正治療」をおすすめしています。それは、早期に治療することで歯並びと顎の不調和をコントロールしやすくなり、最終的な永久歯列の矯正治療を円滑に行えるようになると考えるからです。しかし歯科医院によっては「永久歯が生えそろってから治療をはじめたほうがいい」と言われるところも少なくありません。それは成長が完了してから治療をはじめれば、骨格の成長の度合いを見込んで治療する必要がないため治療の経過を予測しやすいからです。たしかに成長の度合いには個人差があるため、早期矯正治療では予測が立てにくいという点においては永久歯が生えそろってから治療したほうがよいといえます。しかし永久歯が生えそろい歯並びが完成し顎の成長が止まってからの治療だと、下顎が突き出すなど骨格に不調和がみられる場合に、顎の位置を直すための治療が必要になります。場合によっては外科手術により下顎の骨を切断することもあります。そういったリスクを考え、当院では早期矯正治療で歯と顎の不調和をコントロールしながらの矯正治療をおすすめしています。
子供の矯正治療の種類
子供の矯正治療 部分矯正
子供の部分矯正とは
部分矯正では歯全体ではなく、気になる歯を部分的に移動させます。通常の治療が上下20個のブラケットを装着して治療するのに対し、部分矯正では4~6個のブラケットを装着し、治療を行います。歯の裏側に装着する裏側矯正や、ワイヤー部分を半透明にし、目立ちにくくできる方法もあります。歯の印象は、上顎の6本、下顎の6本の歯で決まるといわれるため、部分矯正をすることにより、口元の印象を変えることができます。
子供の部分矯正の特徴
01.治療費を安く抑えられる
コントロールする範囲が少ないため、治療費の負担は他の矯正治療と比較して抑えることができます。
02.治療期間が短い
一般的な矯正治療は、約2年を治療に要します。ただし部分矯正は比較的軽度な症状で、矯正治療の効果が高い前歯を動かすため、短期間で治療を終えられます。
03.噛み合わせは改善されないことも
歯列全体を矯正する場合は、歯の噛み合わせや口腔内の全体のバランスを見ながら治療を進めます。しかし部分矯正はあくまで部分的に矯正治療を行うため、全体のバランスや噛み合わせまでは改善できません。また歯列のずれや痛みの原因につながる可能性もあります。
04.適応症例は限定される
前歯1本1本の軽いねじれ、軽度の出っ歯、また前歯2本のすきっ歯(空隙歯列)などが部分矯正の適応症例です。適応できるのはあくまで軽度な症状であるため、ケースによっては思うような結果が得られない場合もあります。
子供の部分矯正の費用
検査診断料 5,000円
保定装置料 25,000円
装置料 51,000~210,000円(本数によって変わります)
子供の矯正治療 トレーナー型装置
子供の矯正 トレーナー型装置とは
トレーナー型装置による矯正はマウスピース型の装置を使用し、歯を支える舌や頬などの筋肉をトレーニングすることで、お子様の歯並びを改善する治療法です。歯並びが悪くなる原因である口呼吸や舌を突き出すなどの舌癖、指しゃぶりなどの習慣を直し、正しい歯並びの発達や顎の発育などを促します。また、マウスピース型の装置による治療は、特に出っ歯(上顎前突)に悩むお子様に適しています。
子供の矯正 トレーナー型装置の特徴
01.自宅で治療できる
自宅で治療に取り組むため、他の人に矯正治療を行っていることが知られる心配がありません。
02.口呼吸などの悪習慣を改善できる
トレーナー型装置を使用し続けることにより、口呼吸や舌癖などを改善し、顎まわりの健全な発達を促します。
03.子供への負担が少ない
個人差はありますが、他の矯正治療によるワイヤー治療などと比較して、痛みが少ない治療法です。口内の粘膜や唇などを傷つけてしまう心配がありません。
04.お手入れや装着、取り外しが簡単
トレーナー型装置は取り外しができるため、普段通りの歯磨きで口内の清潔を保つことが可能です。また就寝時と日中1~2時間程度使用するため、装置をつけていない状態で食事をとることができます。
05.なれるのに時間がかかることも
最初のうちは装着になれるための練習をし、毎日トレーナー型装置を装着する必要があります。お子様と一緒に治療に取り組みましょう。
06.治療期間が長期に及ぶことも
永久歯が生えそろう中学1年生頃まで経過観察する必要があり、矯正治療が長期に及ぶ可能性があります。
子供の矯正 トレーナー型装置の費用
検査診断料 10,000円
装置料 70,000円
子供の矯正治療 マウスピース矯正
子供のマウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは、透明なマウスピースを装着し、正しい歯並びに改善する治療方法です。中でもインビザラインは比較的新しい治療法で、世界中で約600万人が使用しています。マウスピース矯正(インビザライン)は治療前に1回歯形を取ったものを3Dデジタル化し、治療終了までの歯の動きを0.25mm単位で動かしてシミュレーションしていきます。この治療計画に沿い、製造元であるアメリカのアライン・テクノロジー社の工場で作成されるため、正確さに優れています。このような特徴をもっているインビザラインのお子様向けのマウスピース矯正が、インビザラインファーストです。乳歯のみのお子様、永久歯が全て生えそろっているお子様は使用できないという条件がありますが、6~10歳から使用できます。
子供のマウスピース矯正の特徴
01.目立ちにくく、取り外しが可能
矯正治療は透明のマウスピースを装着するため、目立ちません。また食事の際には自分で取り外すことができます。マウスピースに食べ物が付着することがなく、これまでと同様の食生活を送れます。取り外した状態で歯磨きもでき、衛生面も安心です。
02.違和感・痛みが少ない
ワイヤー矯正では口腔内の粘膜や舌に装置があたって痛みを覚えることがありますが、マウスピース矯正では装着による違和感や痛みがありません。また1つのマウスピースで歯を動かす距離は最小限に抑えているため、個人差はありますが、他の矯正治療よりも痛みが少なくなります。
03.最初の治療から歯並びを整えられる
従来、小児の矯正治療は乳歯が残っている頃から始める治療(I期治療)で顎を広げ、次の段階(II期治療)で歯並びをきれいに整えることを目的としています。しかしマウスピース矯正は、顎を広げることはもちろん、I期治療から歯をきれいに並べることにも優れています。
04.抜歯のリスクを軽減できる
小児の骨格はまだ発達段階にあり、永久歯が生えそろっていないこの時期だからこそ顎の幅を広げ、歯を動かすことができます。乳歯の時期から治療を行うことにより、永久歯が生えるスペースを確保でき、抜歯する可能性が低くなります。
05.通院回数が少ない
マウスピース矯正(インビザラインファースト)は治療前に1回歯形を取るため、治療がスムーズに進めば1.5~3ヵ月に1回程度の通院で済みます。また一般的な矯正治療の場合には2~3年程度を要しますが、マウスピース矯正(インビザラインファースト)は約1年半で治療が完了します。
06.装着時間は守らなければいけない
マウスピース矯正は、器具を長時間装着し続けることで効果を発揮します。インビザラインファーストの場合、20時間以上装着することが必要です。
07.型の取り直しの可能性がある
通常、インビザラインは治療前に1回歯形を取り3Dデジタル化しますが、お子様の場合には治療途中で永久歯が生えてくる可能性を否定できません。もし永久歯が生えたことによってマウスピースが装着できなくなった場合、型を取り直す必要があります。
08.担当する歯科医師によって結果が変わる
マウスピース矯正(インビザラインファースト)は3Dデジタル化した歯形をアメリカのアライン・テクノロジー社の工場に送り、作成を依頼します。その後、歯科医師がお子様一人ひとりの個人差を踏まえオンライン上で微調整や変更を行い、マウスピースが作成されます。そのため、矯正治療によって歯並びをきれいに整えるには確かな技術力や個人に応じた治療計画の立案など、歯科医師の腕が重要です。